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火祭り~多胡羊大夫のこと [隠れ郷土史]

九州別府八湯温泉祭り開催中、別府警察署に外国人が駆け込んだそうですね。
その外国人が言うには、「山が燃えている」[あせあせ(飛び散る汗)]
事情を聴いた署員は山が燃えているのは扇山の火祭りであることを察し、英語で、「ノーノーフェスティバル」と説明して帰したそうだが、観光PRにはなったに違いない。その別府温泉火祭りは京都大文字焼きほど有名ではないが、上州富岡にも火祭り行事がある。
これです。
大島の火祭り.jpg
富岡市の大島というところで例年8月16日、日没になると文字が点火されます。その山の斜面は上信越道甘楽富岡IC~下仁田ICの間辺り。
文字は縄で作られるが決まった文字はなく今年に相応しい一文字を決めるんだと。1200年だか1300年以上続く伝統の行事だとか。
1300年前といったら平城京の頃ではないか。

盆に火を焚くのは先祖の霊を迎え、送り出す行事。ウチでもその時期になると売ってる盆グッズを買って迎え火、送り火をします。
祭りも同じです。大島火祭りの当日は大島地区の各家から1人ずつ道具を持って山に登って文字をカタチ作ります。
この火祭りが起こったのは1300年前だから遠い奈良時代まで遡る。
大化の改新後、都から離れた東国は大小様々な戦乱が繰り返され、それは東国の豪族同士だったり、中央からの討伐軍相手だったりする。史上に現れないのもあるだろう。その戦乱で亡くなったモノノフや民人の霊をなぐさめる為、大島の山の斜面に火を焚いて供養したことが始まり。
大島の火祭りは、吉井町に有名な多胡碑(日本三古碑、上野三古碑のひとつ)という碑文があって、それに因む部分がある。
多胡碑.jpg


この碑が有名なのは、日本書記に続く「続日本紀」に記載される多胡郡の存在を裏付けるからだが、そこにはこうある。

弁官符上野國片罡郡緑野郡甘
良郡并三郡内三百戸郡成給羊

意味は、都の弁官局(朝廷の政治最高機関)からの命令で、上野国片岡郡、緑野郡、甘良郡の三郡から三百戸を分けて新しい郡を作り、羊に支配を任せるというもの。

成多胡郡和銅四年三月九日甲寅
宣左中弁正五位下多治比真人
太政官二品穂積親王左太臣正二
位石上尊右太臣正二位藤原尊
郡の名前は多胡郡としなさい。布告年月日と発令者の名前、官位が記されている。

碑文2行め最後に、「良郡并三郡内三百戸郡成給羊」←羊とあるが、これは動物ではない。多胡羊大夫(タゴヒツジダユウ)という人のことです。
この多胡羊大夫は実在の人物なのか伝説上の人物なのか、今でも様々な伝承の域を出ないが、上州のあちこちに伝説、伝承が多くあるから実在したと見ていいのではないか。もしくは何かモデルがいたかも知れない。
私は学者さんではないので間違った記述があったらご容赦願いたいのですが、碑文では上野群多胡郡の郡司を賜った人となっている。多胡郡の戸数は300戸、任命した高官の名前も刻まれている。
多胡羊大夫という人は、古代にこの地を治めた人だが、ある方面からの讒言により朝廷から疑われ、最後は官兵に討伐された。ここ大島もその戦乱に巻き込まれ、近隣の小幡、天引といった要害も落とされる。
多胡羊大夫は自害し、その魂魄は大島に舞う蝶となった。大島の火祭りはこの多胡羊太夫をなぐさめる祭りが発祥だという。
高橋克彦さんの小説で、陸奥の豪族が東夷と蔑まれ、中央集権に馴染めず反乱を起こし、結局は討伐軍に攻められるストーリーがあるが、多胡さんが討伐されたのもそれと似たようなものかも知れない。
大島の火祭り2.jpg

写真は多胡羊太夫の要害があった大島地区です。現在は畑になっている。畑を耕していた人に聞いてみた。
「ここって何か館があったのですか?」
「いや、そういうのは知らないなぁ」
言葉を濁されちゃったんです。
「浅間山が噴火して、門が埋まって。。。」
全く会話にならず。だがここの集落には小間(コマ)さんという姓が数軒あって、小間姓の先祖は多胡羊太夫一族の生存者もしくは遺児、男子だというんだな。
火祭りの斜面を望む.jpg
長閑なもんです.jpg
この近隣に大島鉱泉という温泉があって、それもあって事前に調べてこの地に来た。(入りませんでした。)調べなければここが多胡羊太夫の要害だったなんて絶対にわからない。
これが大島鉱泉です。大島鉱泉も小間さんです。
大島鉱泉.jpg

この石垣は後年のものか1.jpg
以上は古代の話だが、ここ上州が武田北条上杉長尾、各氏の草刈り場だった時代も長いし、その小間氏がその時代もこの地で館の主だったという記事も見た。今は畑だけで要害に見えないがそれは後世に成らされたに違いない。館跡の南端部は吸い込まれそうな深さ、広い幅の水堀になっており、鏑川とその支流、舟川の合流部近く、二つの河川に挟まれた段丘、細長い台地にあった。
自然の堀.jpg
そういえば上州は各地に多胡姓が多い。私の知人にも2人いた。それもご先祖さんが多胡羊太夫だったという伝説にちなむのではないだろうか。
コメント(2) 

コメント 2

のばら

お疲れ様です。大島鉱泉気になって行こうと思っているのですがまだ入湯していません。たしか高崎付近でしたよね。
by のばら (2014-04-14 19:08) 

船山史家

のばらさん。
大島鉱泉は上州一ノ宮付近です。おそらく富岡市だと思います。上州一ノ宮駅近く、合同庁舎前の交差点を左折して踏切を渡ってしばらく行くと案内があります。
鉱泉だから源泉温度が低く沸かし湯みたいですけどね。旅館というか民家みたいでしたよ。
by 船山史家 (2014-04-15 06:32) 

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