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街角のトロッコ [廃線]

鳥久.jpg格闘家が引退して老いたように見える屈強そうなオヤジがいて、そのオヤジは鬼瓦権蔵みたいな強面で、そのカオに似合わない人懐こい笑顔で、「焼ぁきモノはなぁににいたしますかぁ」って大声で注文を取る焼き鳥屋「鳥久」http://funayama-shika-2.blog.so-net.ne.jp/2013-02-21の前の大通りには昔、路面電車が走っていた。
時は明治、その路面電車は、上毛馬車鉄道、群馬馬車鉄道、利根軌道、吾妻軌道、東武鉄道といった幾つかの鉄道会社に電力会社が絡むのだが、その変遷は本編の主題ではないので省略します。

路面電車は駅前を出てから、八島町、新町交番前、大手町、田町一丁目、二丁目、三丁目、九蔵町・・・渋川から伊香保まで結んでいた。昭和28年6月30日に廃止される。
「鳥久」は新町(あらまち)にある。おそらく距離的には新町交番前~大手町の間と推測されるが、この辺りのF石材店に、間口から奥に向かって、軌間の狭いレールが敷設されている。
F石材店.jpg
前から気になってた。上州を去る2週間前の朝、そこに立ち止まってじ~っと見つめてたら奥に家人がいた。女性です。向こうから挨拶された。
「こんにちは」
「どーもこんにちは。こりゃなんです?まさかここに電車でも走ってたの?」
もちろん私はこれが電車のレールではなく、簡易軌道トロッコのレールだとは察しはついている。素人のフリをしてわざとそう質問したの。
「いいえ、これはですね・・・」
石材を運んだトロッコのレールだという。手押しです。家人の女性は朝の回転準備中に説明してくれた。
「今でも使ってるの?」
「今は使ってません。大正の頃までは使ってました。私も使ってるのを見たことはないんですけど」
レール1.jpg
フォークリフトが無かった時代、老舗の個人商店、酒屋、蔵元で、奥の倉庫から店頭に酒樽を運び出す際、トロッコが使われた店がある。
酒樽だけではなく、デカい味噌樽、醤油樽、米、LPガス、灯油とか。昔で言う萬商店。こういう昔ながらの店は城下町に多いようです。
このトロッコ商店は奥に細長い。昔は間口の大きさで租税を納める基準があったという説があって、だから間口を小さくして鰻の寝床のように奥に細長~く店を作った。
そうなると必然的に奥には倉庫、蔵ができる。そっから店頭に運ぶ。重たい。そこでトロッコを敷こうというアイデアが浮かぶ。
酒や味噌だけではなく、奥に窯があってそこで焼きあがった陶器を搬送する際にトロッコを敷いたケースもあるそうです。

手押しで押せるのだろうか。路面、地面と違って、車輪がレールの上を動くのは摩擦抵抗が少ないんだと。
酒屋のディスカウントで台車に瓶ビールをワンケース積んで運んだ場合、案外と抵抗が大きく感じたことってありませんか。その台車は、車輪が接する床や地面の抵抗が意外とあるんです。トロッコは鉄の車輪対鉄のレールで摩擦抵抗が少なく、動かす側も少ない力で移動できるそうです。

決められた場所から決められた場所に運ぶ単一的、直線的な搬送に相応しい動線。しかも燃料は要らない。
緩いカーブがある場合もあるが、殆どが直線搬送で決められた場所に搬送する。
中にはトラバーサーといって、台車を横に移動させる装置付きの大きい蔵元もあるとか。

そういえば先日、TOKIO出演のバラエティ番組「ザ!鉄輪!DASH!」で、何処かの無人島にトロッコを敷いて石材を運んでいたのを見た。
あれは一体何をやろうとしているのかようワカランがジャン妻はゲラゲラ笑っていた。あの鉄路はTOKIOメンバーが作ったのではなくスタッフが敷設したんでしょうな。
無人島というシチュエーションで、そこに搬送する動力、燃料が無いという意味ではトロッコの発想そのものは悪くないのだが、TOKIOの無人島は、密林から浜辺まで段差、高低差があって悪戦苦闘していた。でもこの石材店のトロッコは個人商店の中で軌道は安定している。
やや傾斜をつける場合もあるらしい。このF石材店も、奥に向かってやや傾斜があるように見えるが、個人の敷地内なので測定はしていません。

家人の女性は大通りを指した。
「この通りは昔、電車が走ってたんですけど、電車がなくなって、道路拡張するまではもっと先まで伸びていたんですよ」
「レールはどっからか買ったんですか?」
「うん。おそらくそうですね」
よく大戦中も残ったものである。
戦時中は不要不急路線という指定でレールや鉄材は軍部に徴収された。戦後、復活せずそのまんま廃止になった鉄道も数知れない。このF石材店のトロッコレールは家の敷地内だから隠れて残されたんだと思う。
レール先端.jpg路面電車が走っていた通り.jpg
写真、撮っていいスか?」
「どーぞどーぞ。マニアの方、結構、来ますよ。いつか復活したいっていう気持ちはあるんですけどねぇ」
と言って、家人の女性は店舗に消えてった。
レール2.jpg
こういうのをジャンル的に街角鉄道ともいうそうです。現役でも引退でもいいんだけど、街中、個人宅や商店の敷地内に敷設してる場合を言うんだって。
F石材店は創業弘化ニ年とあった。翌三年に孝明天皇が即位されている。

F石材店のレール、敷設距離、軌道幅は計ってないので不明です。
いつ敷設され、いつ廃止されたかもわからないが、「鳥久」の角を曲がり、ホテルドーミインの近くにあります。
見学者にはタイヘン好意的ですが、迷惑にならない程度に見てください。
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